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勤務間インターバル時間(休息時間)中の副業!インターバルは確保される?

勤務間インターバル ルールづくり

ある会社からの相談です。

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の支給申請を予定しています。当社では助成金とは関係なく就業時間外の副業も認めているのですが、当社のインターバル時間(休息時間)中に副業をした場合、副業が終了した時間からインターバル時間を確保しなければならないのでしょうか?

この記事では、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の支給申請にあたり、勤務間インターバル時間中に副業で労働した時間がインターバル時間に含めることができるか/できないか、について解説します。

【前置き】勤務間インターバル時間とは

勤務間インターバル制度
「勤務間インターバル制度」とは、長時間労働等による過労死や健康障害の防止やワークライフバランス推進のために、終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間以上のインターバル時間(休息時間)を設ける制度です。
事業主には「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」で勤務間インターバル制度の努力義務が課されています。

労働時間等の設定の改善に関する特別措置法 第2条(事業主等の責務)第1項

事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

この努力義務には「勤務間インターバルの休息時間を〇時間以上にしなければならない」のように具体的な基準は定められていませんが、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)では、少なくとも9時間以上のインターバル時間が支給要件になっています。

勤務間インターバル制度!インターバル時間(休息時間)に副業をした場合は?

結論

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の支給申請において、本業のインターバル時間(休息時間)中に副業で労働した時間は労働時間扱いにはなりません

?!労働基準法では、副業の労働時間は本業の労働時間に通算されると思いますが?

はい、副業の労働時間も本業の労働時間に通算されます。

労働基準法 第38条(時間計算)第1項

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

一方で、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の支給申請については、インターバル時間中に副業で労働しても、労働時間として申請を要しませんので、本業の終業時刻から翌始業時刻の時間がインターバル時間になるのです。

助成金の対象となる事業場は交付決定により本業の事業場が指定されています(副業の事業場は指定されていません)ので、助成金の対象事業場の労働時間でインターバル時間が確保されていればよいということです。

ただし、将来には勤務間インターバル制度も副業解禁も始まったところですので、健康確保の観点から今後の法令改正で見直しがあるかもしれません。

健康確保の点ではそもそも、長時間労働による過労死・過労自殺が社会問題となる中、勤務と勤務の間に一定時間の休息時間(睡眠時間)を設ける「勤務間インターバル制度」の導入しよう!となりました。

勤務間インターバル制度の導入により、長時間労働の抑制、心身の疲労回復、健康維持などに留意しつつ、より生産性の高い働き方を意識することが本来の目的であったように思います。

一方で、働き方改革やコロナ禍の影響による残業時間の減少により、収入確保のために副業をしなければ生活が維持できないという労働者の事情もありますので、さらに深掘りして、勤務間インターバル制度を導入するときのポイントについて説明します。

制度導入にあたり決めておくこと5つ

就業規則や労使協定で制度を定めます。

  1. インターバル時間
  2. 終業時刻から次の始業時刻の休息時間がインターバル時間に満たない場合の措置
  3. 適用除外
  4. 健康配慮措置
  5. 連続勤務時間

1インターバル時間

令和3年8月現在の法令ではインターバル時間の定めはありませんので、会社が任意に決めることができます。(働き方改革推進支援助成金では9時間以上が要件です)

2終業時刻から次の始業時刻の休息時間がインターバル時間に満たない場合の措置

もし終業時刻が遅い時間になり、翌日の始業時刻までの時間でインターバル時間を確保できない場合の措置について決めておきます。

  1. 休息時間と翌日の所定労働時間が重複する時間を労働時間とみなす
  2. 翌日の始業時刻をインターバル時間の満了時刻まで繰り下げ、翌日の終業時刻も同様に繰り下げる
  3. ある時刻以降の残業を禁止し、翌日の始業時刻以前の勤務を認めない

上記1~3は通常の労働時間制度を前提に考えたものですが、一方、フレックスタイム制度や裁量労働制などの労働時間制度と勤務間インターバル制度の併用も考えられます。

また、仮にインターバル時間を確保できなかったとしても、就業規則で罰則規定をつけることは制度の主旨になじまないと思います。

3適用除外

天災事変、システム障害対応などの突発的なトラブルなどによりインターバル時間を確保できない場合の適用除外について明記しておいた方がトラブル予防になると思います。

4健康配慮措置

在社時間が一定時間を超えたり、勤務間インターバル時間が取れない等、一定の基準を超えた場合などに、医師の面接指導を受けさせるなどの健康配慮措置を設けることが望ましいと思います。

5連続勤務時間

健康配慮の点から、連続勤務時間を定めることも望ましいと思います。

労働基準法の高度プロフェッショナル制度の要件とされている健康確保措置の勤務間インターバル制度では、「始業時刻から24時間以内に休息時間を設けること(労働基準法 第41条の2 第1項 第5号イ)」とされています。

むすび

今回は勤務間インターバル制度のインターバル時間(休息時間)に副業をした場合は、副業の終業時刻からインターバルを開始するのかどうかという疑問について、「勤務間インターバルのインターバル時間内における副業で労働した時間は労働時間扱いにならない」という回答をしました。

原則として、会社の労働時間以外の時間(すなわちインターバル時間)を社員がどう使おうと基本的には社員の自由です。

よって、勤務時間外の副業も自由なのですが、次の4つの制限事項に該当すれば、会社は社員の副業を禁止・制限することができます。

副業許可に関する4つの制限事項について詳しくは下記の記事をご参照ください。

助成金申請には影響しないとはいえ、本業+副業による長時間労働が、健康への悪影響や労働時間の規制に違反する場合には、

  • 本業での就業上の措置を行う
  • 副業を禁止・制限する

などの措置を行いましょう。

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