はじめに|自宅=事業所という前提で防災を考える
在宅ワーカーにとって自宅の防災は事業継続そのもの
在宅ワーカーや個人事業主にとって、自宅は単なる住まいではなく、同時に事業所でもあります。通勤する人にとっての「自宅の防災」と「職場のBCP(事業継続計画)」は本来別物ですが、在宅で仕事をしている私たちの場合、この2つは完全に重なります。
つまり、自宅の災害対策を整えることが、そのまま仕事を続けるための備えになる、ということです。
逆に言えば、自宅のライフラインが止まったり、自宅そのものが使えなくなれば、即座に仕事も止まります。会社員のように「オフィスに避難して業務継続」という選択肢はありません。自宅がダメなら全てがダメ、という構造に置かれているのが在宅ワーカーです。
だからこそ、在宅ワーカーは普通の家庭以上に、自宅防災を真剣に考える価値があります。
この記事で取り上げる範囲
この記事では、次の9つの観点から、在宅ワーカーが整えておきたい自宅防災の基本を解説します。
- 自宅の災害リスクを知る
- ライフライン停止の日数を想定する
- 食料と水の備蓄
- 停電対策
- 断水対策
- 通信が止まったときの備え
- あると便利な日用品のストック
- 風水害向けのマイタイムライン作り
- 自宅防災と固定費最適化の両立
一度にすべてを揃える必要はありません。気になったところから少しずつ着手していけば、1〜2ヶ月で基本的な備えは整います。
1. まず自宅の災害リスクを知る
ハザードマップで自宅の危険区域を確認する
備えを始める前に、まず自宅がどのような災害リスクを抱えているかを知ることが出発点になります。地震、津波、河川氾濫、高潮、内水氾濫、土砂災害など、想定される災害は地域によって大きく異なります。
これを確認する最も手軽な方法が、ハザードマップです。ほとんどの市町村が自治体のウェブサイトでハザードマップを公開していますし、紙で配布している自治体もあります。まずはお住まいの自治体名とあわせて「ハザードマップ」で検索してみてください。
国交省「重ねるハザードマップ」が便利
複数の災害リスクを一度に確認したい場合は、国土交通省が提供している「ハザードマップポータルサイト」が便利です。ここでは次の2つのサービスが使えます。
- 重ねるハザードマップ:洪水、土砂災害、高潮、津波などのリスクを1枚の地図に重ねて表示できる
- わがまちハザードマップ:全国の市町村が作成したハザードマップに一括アクセスできる
私自身も、このポータルサイトで自宅周辺を確認してから、どの災害を優先して備えるかを決めました。住んでいる地域によって、備えるべき優先順位は全く変わります。たとえば河川から離れた高台にあれば水害の優先度は下がりますが、活断層が近ければ地震対策が最優先になります。
在宅避難か立退き避難かの判断
ハザードマップで自宅を確認したとき、そこに色が塗られていなければ(危険区域に該当しなければ)、災害時は基本的に在宅避難が選択肢になります。自宅が安全に留まれる場所なら、無理に避難所へ行かず、自宅にとどまるほうが感染症リスクも生活ストレスも少なく済みます。
逆に、自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域、津波浸水区域などに含まれている場合は、立退き避難が必要になります。避難先の候補としては、安全な場所にある親戚・知人宅、市町村が指定する緊急避難場所、ホテルや旅館などがあります。
在宅ワーカーにとっては、在宅避難が可能な立地かどうかが、事業継続のしやすさに直結します。これから引っ越しや住み替えを考えている人は、ハザードマップも物件選びの基準に入れることをおすすめします。
2. ライフライン停止の日数を想定する
震度7の地域での復旧日数の目安
自宅にいられても、ライフラインが止まれば生活も仕事も制約を受けます。どの程度の期間、何が止まるのかをあらかじめ想定しておくと、備蓄量の目安が立てやすくなります。
過去の大震災の経験値として、震度7の地域では次のような復旧日数が目安とされています。
| ライフライン | 50%復旧の目安 | ほぼ復旧の目安 |
|---|---|---|
| 電力 | 約3日 | 約1週間 |
| 水道 | 約1週間 | 約3週間 |
| ガス | 約3週間 | 約5週間 |
震度6の場合は、震度7の50%復旧の日数を目安と想定されています。
この数字を見ると、最低でも1週間分の水と食料、それにガスや電気に頼らない調理手段を備えておくべきだ、という判断が導けます。
電力・水道・ガス・通信が止まると何ができなくなるか
ライフラインが止まると、普段当たり前にできていたことが一気にできなくなります。主な影響を整理しておきます。
- 電力停止:エレベーター停止、冷蔵・冷凍庫の機能停止、停電で照明が使えない、PCやスマートフォンの充電不可、Wi-Fiルーター停止、エアコン停止
- 水道停止:飲料水確保困難、トイレが流せない、手洗い・入浴困難、調理に制限
- ガス停止:調理が困難、給湯不可
- 通信停止:インターネット利用不可、電話・メール不通、取引先や家族との連絡ができない
特に在宅ワーカーが痛手を受けやすいのは、電力と通信の停止です。いくら水と食料があっても、電気と通信が止まれば仕事はできません。
在宅ワーカーが業務面で受ける影響
会社員であれば、災害時は年次有給休暇や特別休暇などで業務から離れることができますが、個人事業主やマイクロ法人オーナーはそうもいきません。納期のある仕事を抱えていれば、納品義務は続きます。
だからこそ、在宅ワーカーには次のような備えが特に重要になります。
- PCとスマートフォンの電源を確保する手段(ポータブル電源やモバイルバッテリー)
- 通信が止まったときに取引先へ連絡する代替手段
- 復旧までの間、業務を一時中断する旨を伝える連絡フロー
納期がある仕事の場合、災害発生後できるだけ早く「被災したため◯日まで業務を停止します」と取引先に連絡できるかどうかが、信用を保てるかの分かれ目になります。電気と通信が両方生きていれば数分で済む連絡が、両方止まると一気に難易度が上がります。
この視点で備えを組み立てると、「まず何を守るべきか」の優先順位が自然に見えてきます。
3. 食料と水の備蓄(1週間分が目安)
大人2人・1週間分の備蓄例(概要)
先ほど見たように、震度7クラスの地震では水道の50%復旧までに約1週間かかります。このため、家庭備蓄も1週間分を目安に揃えるのが現実的です。
農林水産省が公開している「災害時に備えた食品ストックガイド」では、大人2人・1週間分の備蓄例として、次のようなものが挙げられています。
- 必需品:水2L×6本×4箱(1人1日およそ3L)、カセットコンロ、カセットボンベ12本
- 主食:米2kg×2袋、乾麺、カップ麺6個、パックご飯6個
- 主菜:レトルト食品18個、缶詰18缶
- 副菜・その他:日持ちする野菜、調味料、インスタント味噌汁、梅干し、のり、果汁ジュース、菓子類
見るとわかる通り、これらは非常食というより日常の食材と大きく変わらないラインナップです。カップ麺やレトルト、缶詰を普段から食べる家庭なら、少し多めに買い置きするだけで備蓄になります。
ローリングストック法という考え方
この「普段から食べているものを少し多めにストックし、食べた分だけ買い足す」やり方を、ローリングストック法と呼びます。
従来の「非常食」は、5年保存のクラッカーや缶詰パンなど、普段は食べない特殊な食品を長期保存する考え方でした。しかしこれは消費期限が切れるまで放置されがちで、いざというときに期限切れを発見する、ということが起こりがちです。
ローリングストック法なら、
- 普段から食べているので味の好みに合う
- 消費期限が近いものから食べるので無駄が出ない
- 特別な出費ではなく、日常の買い物の延長で備蓄できる
というメリットがあります。在宅ワーカーにとっては、仕事の合間に簡単に食べられるレトルトやカップ麺が備蓄にそのまま使えるので、ローリングストック法との相性が非常に良いです。
具体的な備蓄リストと実践方法は別記事で
食料備蓄について、備蓄品リストの詳細、保管方法、家族構成に応じた調整などは、別記事「ローリングストック法の実践|在宅ワーカーの食料備蓄リスト(1週間分)」で詳しく解説しています。これから備蓄を始める方は、あわせて読んでみてください。
4. 停電対策|ポータブル電源の備え
停電時に何を動かす必要があるか
在宅ワーカーにとって、停電は仕事の継続に直結する最大のリスクです。まず、停電時に何を動かす必要があるか、優先順位を整理しておきましょう。
優先度を高い順に並べると、おおむね次のようになります。
- スマートフォンの充電:情報収集と連絡手段
- Wi-Fiルーターの電源:ネット通信の確保(モバイル回線で代替も可)
- ノートPCの充電:仕事の継続に必要な場合
- 照明:夜間の生活維持
- 冷蔵庫:食材の保存(24時間程度なら扉を開けなければもつ)
- 扇風機・電気毛布など:季節による体温管理
全部を賄おうとすると相当な容量が必要ですが、スマートフォン・Wi-Fiルーター・ノートPCの3点セットに絞れば、中型のポータブル電源1台で数日は対応できます。
ポータブル電源の容量の目安
ポータブル電源の容量は「Wh(ワットアワー)」という単位で表されます。ざっくりした目安は次の通りです。
| 容量 | できること |
|---|---|
| 200〜400Wh | スマホ数回分の充電、小型LED照明 |
| 500〜700Wh | ノートPC数回充電、Wi-Fiルーター1日稼働 |
| 1000Wh以上 | 冷蔵庫の一時稼働、電子レンジの短時間使用 |
| 2000Wh以上 | 家庭用の広い用途、長時間の停電に対応 |
在宅ワーカーが「数日間の停電を乗り切って仕事を継続する」ことを目的にするなら、500〜1000Wh程度のクラスが一つの目安になります。さらに自家発電機(カセットボンベ)との併用で充電ができれば、停電が長引いても電源を確保し続けられます。
私自身はJackeryのポータブル電源600Plus(約630Wh)を使っています。実際に使ってみた感想や充電時間、稼働できる家電の具体例については、別記事で詳しくレビューしています。
→ 内部リンク:Jackeryポータブル電源600Plus購入レビュー
購入を検討する際は、自宅で本当に何を動かしたいかを先に洗い出してから、必要な容量を決めるのがおすすめです。大は小を兼ねますが、大きいものは重く、高く、普段使いしにくくなります。
5. 断水対策|水と衛生の備え
飲料水と生活用水は別に考える
水の備蓄を考えるとき、飲料水と生活用水を分けて考えるのが基本です。
- 飲料水:飲む、料理に使う水。1人1日3Lが目安
- 生活用水:手洗い、トイレ、洗濯、清拭などに使う水。飲用レベルの水質までは不要
飲料水はペットボトル入りの市販水を備蓄するのが一般的です。先ほどの農水省の例でも、大人2人・1週間分で2L×24本が目安とされていました。
生活用水は、普段から風呂の残り湯を貯めておいたり、ポリタンクに水道水を貯めておいたり、といった工夫で確保できます。給水車が来るまでの間をしのぐ手段として、飲料水とは別に考えておくと安心です。私は折りたたみ式の10Lウォータータンクに水道水を貯めています。毎日の洗濯に使い、常に新しい水に入れ替えるようにしています。
携帯トイレは事前準備が必要
意外と見落とされがちなのが、トイレ対策です。断水するとトイレが流せなくなり、数時間もすれば深刻な衛生問題になります。集合住宅の場合、排水管の破損が見つかるまで無理に流すと、下階に漏れる可能性もあります。
対策は、携帯トイレ(簡易トイレ)の備蓄です。市販のセット品を買うのが早いですが、自作することもできます。必要なものは次の通りです。
- 防臭袋(臭断袋)
- 凝固剤(吸水シート)
- 黒いビニール袋(20〜45リットル、処理用)
- 結束バンド
- チャック付き袋(パッケージ用)
使い方は、便座の下に1枚目のゴミ袋をセットし、2枚目を便座の上からかぶせて用を足した後、凝固剤を振りかけ、空気を抜いて口を結ぶ、という流れです。
ポイントは、凝固剤を使わないと詰まりの原因になることです。排水管を守るためにも、必ず凝固剤とセットで備蓄してください。
1人1日5〜6回×1週間で、1人あたり35〜42枚の処理用袋が必要になる計算です。かなりの量ですが、コンパクトに収納できるので、押入れの隅などに置いておけます。
水のうで浸水・逆流を防ぐ
水害時の対策として知っておきたいのが、「水のう」という簡易水防の技術です。家庭用の45Lゴミ袋に水を半分ほど入れて縛るだけで、土のうの代わりになります。
水のうの主な使い方は次の通りです。
- 玄関前に並べる:浸水の侵入を防ぐ(段ボールに入れて防水シートで覆うとさらに効果的)
- トイレの便器に置く:下水の逆流を防ぐ
- 洗濯機・風呂場の排水口に置く:排水口からの逆流を防ぐ
豪雨で下水道の処理能力を超えると、住宅内のトイレや排水口から汚水が逆流することがあります(内水氾濫)。浸水想定区域に住んでいる場合は、45Lゴミ袋と防水シート(ブルーシート)を普段から備えておくと、いざというときに応急処置ができます。
水のうは必要になってから作れるのが利点で、事前に大量に準備しておく必要はありません。材料だけ家にあれば、大雨予報のタイミングで準備すれば間に合います。
6. 通信が止まったときの備え
災害時フリーWi-Fi「00000JAPAN」を知っておく
大規模災害が発生すると、携帯キャリア各社が連携して「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」というフリーWi-Fiを解放することがあります。名前の通り、SSIDに「00000JAPAN」と表示されるアクセスポイントに、パスワードなしで接続できます。
アクセスポイントは、平時の各キャリアのWi-Fiスポットに加えて、大規模避難所などにも設置されます。また、JR西日本をはじめとする一部の鉄道事業者も、大規模災害時には駅構内のWi-Fiを無料開放する方針を公表しています。
完全に通信が途絶した地域では役に立ちませんが、一部でも通信網が生きていれば、自宅から徒歩圏内で利用できる可能性があります。事前に存在を知っているかどうかで、使えるときの判断速度が変わります。
災害用伝言ダイヤル171の使い方
電話回線が輻輳して通じにくくなったとき、家族や取引先との安否確認に使えるのが「災害用伝言ダイヤル171」です。NTTが提供している無料サービスで、音声メッセージを録音・再生できます。
使い方は次の通りです。
- 録音:171をダイヤル → 「1」を選択 → 自分の電話番号をダイヤル → 録音
- 再生:171をダイヤル → 「2」を選択 → 相手の電話番号をダイヤル → 再生
NTTドコモ、au、SoftBank各社が提供する災害用伝言板(web171)とも相互連携しているので、音声とテキストの両方でやり取りできます。
災害時以外にも、**毎月1日と15日、正月三が日、防災週間(8月30日〜9月5日)、防災とボランティア週間(1月15日〜21日)**は体験利用ができます。いざというときに慌てないよう、一度は操作を試しておくことをおすすめします。
取引先・家族への連絡手段を複数持つ
在宅ワーカーの場合、被災した場合に「◯日まで業務停止」の連絡を取引先に入れられるかどうかが、信用維持の要になります。連絡手段を複数の経路で持っておくと、どれか一つが使えなくなっても対応できます。
- 電話:通じにくいが最後の手段として
- メール:ネットが生きていれば送れる
- チャットツール(Slack、Chatwork等):取引先が日常的に使っているものに合わせる
- SMS:音声回線が混雑してもつながることがある
- 災害用伝言板(web171):家族との連絡に
スマートフォンのバッテリーが尽きないよう、ポータブル電源と連携させることが前提になりますが、通信手段の選択肢を普段から増やしておくことが備えになります。
7. あると便利な日用品のストック
備蓄というと水と食料ばかり注目されがちですが、日用品の備えも同じくらい重要です。ここでは、普段から多めに買っておくと災害時に役立つものを紹介します。
食品用ポリ袋・ラップ・アルミホイル
キッチン用の消耗品ですが、災害時には本来の用途以外にも応用できます。
- 食品用ポリ袋:手袋の代わり、調理用ボウル代わり、水の運搬用
- ラップ:おにぎりを素手で触らず作る、皿に敷いて洗い物を減らす
- アルミホイル:熱いものを載せる皿代わり、反射板代わり
特にラップは、食器洗いの水を節約できる点で備蓄価値が高いです。断水時に皿を洗えないとき、ラップを敷いて料理を盛れば、使い終わったらラップだけ捨てられます。
カセットコンロとカセットボンベ
ガス停止時の調理手段として、カセットコンロは必須レベルの備えです。農水省のストックガイドでは、大人2人・1週間分でカセットボンベ12本(1人あたり6本)が目安とされています。
1本のボンベでおよそ60分使用できます。1日30分の調理で使えば、1ヶ月で約15本が必要という計算になります。普段から鍋料理などでカセットコンロを使う習慣をつけておけば、ローリングストックが成り立ちます。
衛生用品・除菌スプレー
断水時に手洗いができなくなるので、アルコール除菌スプレーやウェットティッシュの備蓄も欠かせません。これに加えて次のようなものも備えておくと安心です。
- マスク(感染症対策にも流用可能)
- トイレットペーパー(在宅避難なら1ヶ月分以上が理想)
- ウェットティッシュ・ウェットタオル
- 水のいらないシャンプー・ドライシャンプー
- 歯磨きシート
- 生理用品、オムツ(該当する家族がいる場合)
- 常備薬(持病がある場合は1ヶ月分程度)
- 救急セット(絆創膏、消毒液、包帯など)
どれも災害時専用ではなく、普段使いするものばかりなので、ローリングストック法と相性が良いです。少し多めに買い置きするだけで、基本的な備えが整います。
8. 風水害向け|マイ・タイムラインを作る
マイ・タイムラインとは
地震と違い、台風や大雨による風水害は数日前から予測可能です。この特性を活かして事前に避難行動を決めておくのが「マイ・タイムライン」です。
マイ・タイムラインとは、家族や生活の状況に合わせて「いつ」「誰が」「何をするのか」をあらかじめスケジュールにまとめたもので、いざ大雨が近づいたときに慌てず行動できるようにする備えです。
国土交通省や多くの自治体が、河川氾濫・内水氾濫・高潮・津波などパターン別のマイ・タイムラインのひな型を公開しています。お住まいの自治体名とあわせて「マイ・タイムライン」で検索してみてください。
警戒レベルごとに行動を決めておく
気象庁と市町村から発表される防災情報は、警戒レベル1〜5の5段階で整理されています。
- 警戒レベル1:早期注意情報。災害への心構えを高める
- 警戒レベル2:大雨・洪水注意報。ハザードマップ等で避難行動を確認
- 警戒レベル3:高齢者等避難。危険な場所から高齢者等は避難
- 警戒レベル4:避難指示。危険な場所から全員避難
- 警戒レベル5:緊急安全確保。命の危険、直ちに安全確保
避難は警戒レベル4までに必ず完了させるのが原則です。警戒レベル5は「すでに災害が発生・切迫している」状態なので、安全に避難できる保証はありません。
在宅ワーカーは早めの避難判断が取りやすい
会社員は職場への出勤義務があるため、警報が出ていても出勤せざるを得ない場面がありますが、在宅ワーカーは違います。
- 通勤の必要がないため、暴風雨の中を移動するリスクがない
- 業務を一時中断する判断が自分でできる
- 早めに安全な場所へ移動する余裕がある
これは在宅ワーカーの大きなメリットです。「警戒レベル3が出たら避難を始める」「警戒レベル2で避難準備を整える」といったルールを、自分のマイタイムラインに落とし込んでおくと、実際に警報が出たときに判断で迷いません。
浸水想定区域に住んでいる方は特に、避難先を複数候補(親戚宅、ホテル、指定避難所など)で用意しておくと、状況に応じて柔軟に選べます。
9. 自宅防災は固定費最適化と両立する
備蓄は「特別な出費」ではなく日常消費の先取り
ここまで読んで、「備えを全部揃えると結構お金がかかりそうだ」と感じた方もいるかもしれません。しかし、ローリングストック法で備える場合、備蓄は特別な出費ではなく、日常の食材・日用品の買い置きです。食べて買い足すサイクルに組み込まれるので、長期的には家計への負担はほぼ変わりません。
むしろ、
- まとめ買いで単価が下がる:同じ商品を1個ずつ買うより、ケース買いで1〜2割安くなる商品は多い
- 買い物の頻度が減る:在庫があるので「必要になったら買う」ではなく計画的に買える
- 災害時の割高な買い物を避けられる:被災後の物資不足時に高値で買う事態を回避できる
という効果があります。つまり、備蓄は家計防衛の一環でもあります。
在宅化そのものが最大のリスク分散
少し視点を引いて考えると、在宅ワーカーという働き方そのものが、災害時のリスク分散として機能しています。
- 通勤リスクがない:電車の遅延・運休、道路の寸断に影響されにくい
- 物理的な職場の損壊リスクがない:自宅が無事なら仕事は続けられる
- 時間と場所の自由度が高い:災害対応と業務継続を両立しやすい
もちろん「自宅がダメなら全てがダメ」という弱点もありますが、そのリスクは自宅防災を整えることで大幅に下げられます。
在宅ワーカーにとっての自宅防災は、単なる生活防衛ではなく、事業継続のための投資として位置づけられます。そう考えると、ポータブル電源1台、携帯トイレの備蓄、1週間分の食料といった出費は、事業に必要な経費の一部として納得しやすくなるのではないでしょうか。
まとめ|備えを日常に溶かす
在宅ワーカー・個人事業主・マイクロ法人オーナーにとって、自宅は住まいであり、同時に事業所でもあります。自宅の防災を整えることは、そのまま事業継続の備えになります。
この記事で紹介した9つのポイントを、もう一度整理しておきます。
- ハザードマップで自宅の災害リスクを知る
- ライフライン停止の日数を想定し、1週間分を目安に備える
- 食料と水の備蓄はローリングストック法で日常に溶かす
- 停電対策としてポータブル電源を用意する
- 断水対策として生活用水と携帯トイレを備える
- 通信途絶に備えて連絡手段を複数持つ
- 日用品の買い置きも備蓄の一部
- 風水害向けにマイタイムラインを作っておく
- 自宅防災は固定費最適化と両立する
いきなり全部を揃える必要はありません。気になった項目から少しずつ着手していけば、1〜2ヶ月で基本的な備えは整います。「特別な備蓄」ではなく「普段の買い物を少し工夫する」くらいの気持ちで始めるのが、続けるコツです。
食料備蓄の詳しいリストや保管方法については、別記事「ローリングストック法の実践|在宅ワーカーの食料備蓄リスト(1週間分)」で解説しています。あわせて読んでみてください。

