当ブログの開設当初は、テレワークを始める企業向けに労務管理での留意事項をお伝えしていましたが、下記の記事へのアクセスが非常に多いことから、在宅勤務をしたいのにできない妊婦さんの労働者向けに、考え方を整理してお伝えしたいと思います。
結論
在宅で副業ができる場合は副業をする。
副業が許可されない場合は、将来に向けて、在宅でできる副業の準備をすることをお勧めします。
妊娠中に在宅で仕事ができるか?現状を把握しましょう
- 働ける健康状態か?
- 通勤できるか?
- テレワーク(在宅勤務)の対象労働者であるか?
- 休みの種類は?
- 会社の就業規則に療養専念義務があるか?
- 会社の就業規則では副業可か?
順番に確認してみましょう!
① 働ける健康状態か?
いいえ、働ける健康状態ではありません
主治医から「休業」の指導事項がある場合は、そもそも働ける健康状態ではありませんので、休業して療養に専念することをお勧めします。
なお、主治医の指導による「休業」は、男女雇用機会均等法第13条に基づく措置になります。
主治医の指導による「休業」は、男女雇用機会均等法第13条に基づく措置になります。
指導事項とは、母性健康管理指導事項連絡カードに記載の指導事項のことです。
- もしかして、「休業」までは指導されないかも…
- 会社がテレワーク(在宅勤務)を認めてくれる可能性も低そうだし…
そのような心配がある方は、あらかじめ会社の制度上、あなたがテレワーク(在宅勤務)の対象者であるか否かを調べておくことをお勧めします。
もし、あなたの会社にテレワーク(在宅勤務)、時短勤務、時差出勤などの制度がない場合は、主治医にあらかじめ「仕事に関する情報の提供」をしたうえで、指導事項に選んでいただける選択肢が限られる(=おそらく「休業」以外の選択肢が無い)ことを説明しましょう。
ただし、「休業」を指導事項にするかどうかは主治医の判断です。主治医から「(条件付きを含む)就労可能」と判断された場合は、以下を読み進めて頂ければと思います。
なお、「仕事に関する情報の提供」については、下記の記事に詳しく書いていますので、気になる方はこちらもご参照ください。
はい、働ける健康状態です
主治医からの指導事項が無い、あるいは「休業」以外の指導事項がある場合は、質問②へ進みます。
② 通勤できるか?
はい、通勤できます
主治医からの指導事項が無い場合は、通常の出勤勤務ができるということになります。
「勤務時間の短縮」の指導があれば、短時間勤務で労働負荷を軽減します。
「妊娠中の通勤緩和の措置」で在宅勤務以外の方法としては、混雑する時間帯を避けるために、
- 時差出勤
- フレックス
の制度が使えるかどうかを検討します。
いいえ、通勤できません
「妊娠中の通勤緩和の措置」で在宅勤務を検討する場合は、質問③へ進みます。
③ テレワーク(在宅勤務)の対象労働者であるか?
はい、テレワーク(在宅勤務)の対象労働者です
妊娠前から既にテレワーク(在宅勤務)を行っている場合は、スムーズにテレワーク(在宅勤務)へ移行できるでしょう。
妊娠前はテレワーク(在宅勤務)を行っていなくても、就業規則等の社内規則(在宅勤務規程、テレワーク勤務規程などの名称)を見て、ご自身が対象となり得る場合は、制度の利用を申し出てみましょう。
職務を変更すればテレワーク(在宅勤務)できる場合は、変更後の労働条件を確認しましょう。
いいえ、テレワーク(在宅勤務)の対象労働者ではありません
- 社内規則で対象労働者ではないことが明らかである
- そもそもテレワーク(在宅勤務)できる仕事がない(テレワークに関する社内規則もない)
テレワーク(在宅勤務)が出来ない場合は、出勤して働くことができないため、休業か休暇を選択することになりますので、質問④へ進みます。
④ 休みの種類は?
年次有給休暇
労働基準法第39条に定める年次有給休暇は、有給休暇で、取得理由に制限はありません。
ただし、付与日数の範囲内でしか使うことができません。
その他の休暇
法律に定めはありませんが、会社独自の「病気休暇」「積立年休」などの制度があれば、利用することができるかもしれません。ご自身が制度利用の対象者であるか、有給か無給か、利用できる日数などは会社の規則によります。
私傷病休職・欠勤
- 年次有給休暇
- その他の休暇(会社独自の病気休暇などの制度)
- 主治医からの「休業」の指導事項による休業
上記に該当せず、かつ、出勤できなければ、原則として欠勤になります。
妊娠以外の傷病により就労不能(医師の診断あり)の場合は、私傷病休職もあり得るでしょう。
通勤できる健康状態に回復すれば、出勤して勤務をすることになります。
⑤ 会社の就業規則に休業中の療養専念義務があるか?
テレワーク(在宅勤務)できないため、会社を休業せざるを得ない、しかも無給…
生計維持に必要な収入を得る必要がありますが、医師の就労不能の証明がなければ健康保険の傷病手当金の受給は難しいでしょう。あるいは、傷病手当金が振り込まれる間のつなぎとして、他から収入を得る必要性があるかもしれません。
- その他の休暇
- 主治医からの指導による休業
- 私傷病休職
- 欠勤
上記の休暇・休業・欠勤は、多くの場合【無給】ですので、在宅でできる副業で少しでも稼ぎたいと考えている方もいらっしゃると思います。
一方で、会社の就業規則で、傷病を理由とした休暇・休業・欠勤の場合、【療養専念義務】を定めていることがあります。就業規則違反になることは、今後の労使の信頼関係を悪化させることになりますので、避けた方がよろしいと思います。
⑥ 会社の就業規則では副業可か?
傷病を理由とした休暇・休業・欠勤の【療養専念義務】が就業規則に定められていない場合、次は【副業が認められるか否か?】を確認しましょう。
副業が認められない場合
就業規則で副業が禁止、あるいは許可されなかった場合です。上記の療養専念義務と同様、就業規則違反になることは、今後の労使の信頼関係を悪化させることになりますので、避けた方がよろしいと思います。
とはいえ、副業の準備(情報収集・勉強など)は副業ではありません。
在宅でできる仕事のスキルを身に着ける良い機会と受け止めて、休業している期間を有意義に過ごして頂ければと思います。
なお、「産休、育休中」と「主治医から就労不能との診断による休業中」は休業の理由や性質が異なりますので、副業が許可されるか否か、会社の判断が異なる可能性もあり得ると思います。
「産休中・育休中」の副業が認められるか否かについては、会社と相談してはいかがでしょうか?
副業が認められる場合
会社から副業が認められる場合は、在宅でできる副業で収入を得ましょう!
在宅でできる副業に関する記事も書いていますので、よろしければ参考にしてください!
まとめ
この記事では、在宅勤務したいのにできないとお悩みの妊婦さん向けに、在宅勤務ができない理由を深掘りしつつ、在宅勤務ができない場合にどうするか?について解説しました。
- 働ける健康状態か?
- 通勤できるか?
- テレワーク(在宅勤務)の対象労働者であるか?
- 休みの種類は?
- 会社の就業規則に療養専念義務があるか?
- 会社の就業規則では副業可か?
結論は以下のとおりです。
- 在宅で副業ができる場合は副業をする
- 副業が許可されない場合は、産休・育休期間に向けて、在宅でできる副業の準備(情報収集・勉強など)をすることをお勧めします。
この記事が「在宅勤務したいのにできない」とお悩みの妊婦さんに、お役に立てれば幸いです。