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妊娠中で在宅勤務を希望するとき(労働者の立場から)

テレワークと産業衛生

妊娠中で在宅勤務を希望するとき(労働者の立場から)

過去記事「妊娠中の従業員からテレワーク(在宅勤務)の希望があったとき」では、会社が行う対応について説明しましたが、今回の記事では労働者・会社・主治医の情報共有がスムーズになる手順を社労士目線で解説します。

母健連絡カードの使用方法

厚生労働省ポータルサイトより

過去記事で解説しました通り「母健連絡カード」をお使い頂きますが、厚生労働省のポータルサイト「働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」より、「母健連絡カード」の使用方法は下図の手順となっています。

①妊娠中または出産後の女性労働者が健康診査等を受診します。
②主治医等が、健康診査等の結果、通勤緩和や勤務時間短縮等の措置が必要であると判断した場合、「母健連絡カード」に必要な事項を記載して女性労働者に渡します。
③女性労働者は、「母健連絡カード」を事業主に提出して、措置を申し出ます。
④事業主は、「母健連絡カード」の記載事項に従い、通勤緩和や勤務時間短縮等の措置を講じます。

出所:厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」

指導事項には、主治医が妊産婦から具体的な仕事内容等を聴き取り「母健連絡カード」裏面「(参考)症状等に対して考えられる措置の例」を参考に記入しますが、「在宅勤務」は「通勤緩和の措置」に含まれます(4.その他の指導事項)。

「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」の活用

上記のフローの①は健康診査等が始まりですが、労働者・会社・主治医の情報共有がスムーズになるためには、①の時点で主治医にお伝え頂く「具体的な仕事内容など」を正確にお伝え頂くことがポイントです。「正確に」というのは労働者の記憶に頼るのではなく、労働者と会社が書面で確認することで担保できるかと思います。

過去記事「傷病等を抱えた従業員からテレワーク(在宅勤務)の希望があったとき」でも紹介しました「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」等の情報提供書面がそのまま使えると思います。会社に在宅勤務制度があり、ご本人さんが利用可能であれば、在宅勤務できる可能性はあると思います。

一方で、「会社に在宅勤務制度が無い」、または「会社に在宅勤務制度があってもご本人さんの職種は在宅勤務制度の対象外で在宅勤務できる職種への転換も難しい」のであれば、在宅勤務の措置は難しいのではないかと思います。

会社に作成を依頼し、労働者が署名します。テレワーク(在宅勤務)については、一番下の「利用可能な制度」に「在宅勤務(テレワーク)」があります。

書面で「具体的な仕事内容など」を主治医にお伝え頂くことにより、妊産婦さんの場合は「診断書兼意見書」の代わりに「母健連絡カード」が診断書になります。

もし勤務情報の情報提供書面が無ければ、主治医は患者(労働者)の具体的な仕事内容などは患者(労働者)から聞き取るしかなく、もし会社が対応できない措置を指導された場合、フローの③の段階で会社があわてて主治医と連絡をとり判断を求めるなどの混乱を招くかもしれません。

両立支援等助成金の要件にもなっていますので、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、厚生労働省より「育休復帰支援プラン面談シート」を用いた会社と労働者(妊産婦)とのコミュニケーションが推奨されています。面談シートを用いて、妊娠報告後面談、産休前・育休前面談、休業中面談、復帰後面談など複数のタイミングで面談を行う仕組みです。

「育休復帰支援プラン面談シート」の「妊娠報告後面談」では以下の質問事項があります。

  • 出産予定日はいつですか?
  • 産前休業はいつから取得しますか?
  • 育休の取得予定はありますか?
  • 体調面で、周囲に配慮してほしいことはありますか?
  • 業務の引き継ぎスケジュールを話し合いましょう

この面談の際に、先ほど紹介しました「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」で現在の仕事内容を会社と再確認しておくことをお勧めします。

もし会社が「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」の作成に協力的ではなくても、就業規則は必ず閲覧できますので、ご自身が適用される就業規則を見て、「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」の項目を入力して書面を作成しておくことをお勧めします。分からないことがあれば、会社の担当者に確認しましょう。ただし、会社と一緒に作成した書面ではない場合、主治医に提出するのは問題があると考えますので、あくまでも記憶に頼らないための手控えとしてお使いください。

母健連絡カード使用から在宅勤務措置への流れ

最後に母健連絡カード使用の流れをまとめます。

休業する場合の不利益取扱いの禁止

母健連絡カードなどによる主治医からの指導事項に基づく休業は、病気休職か私傷病休職になるかは、その会社の就業規則の定めによりますが、男女雇用機会均等法第13条第1項を根拠にした休業ですので、まずは人事上の不利益があってはなりません(男女雇用機会均等法第9条第3項)。

まとめ

今回、妊娠中の従業員がテレワーク(在宅勤務)を希望する場合、会社・労働者・主治医の情報共有がスムーズになる手順を解説しました。労働者向けに書いた記事ですが、会社の担当者にも参考になるかと思います。

  1. 妊娠報告の段階で「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」を面談の場で作っておく。テレワーク(在宅勤務)が可能であれば、様式の「利用可能な制度」の「在宅勤務(テレワーク」のチェックボックスにチェックを入れる。
  2. 健康診査受診で、主治医の判断により「母健連絡カード」を発行します。その際、必要な措置を記入するため「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」で仕事内容や利用可能な制度等を主治医に伝えます。
  3. 従業員は「母健連絡カード」を会社に提出します。
  4. もともと在宅勤務が可能な職務であれば、在宅勤務を導入します。職務内容の変更(軽減)により在宅勤務が可能であれば、在宅勤務を導入する。賃金変更については就業規則・賃金規程の定めによります。
  5. 在宅勤務できる業務が無い場合は、休職または休暇・欠勤になります。賃金は就業規則・賃金規程の定めによります。無給の場合は、傷病手当金の活用を検討しましょう。

以上で解説を終わります。何かのお役になれば幸いです!

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