自宅でも災害などによる停電への備えが必要かな~と思ってるのですが、ポータブル電源まで備える必要があるのでしょうか?スマホの充電用ならば、モバイルバッテリーでも十分かなと思いましたが。
私も最初はポータブル電源まで備える必要はないかなぁ、と思っていました。しかし、私の場合はスマホ以外にも停電中でも動かしたい電化製品がありましたので、思い切って購入することにしました。
この記事では、次の疑問について自分なりの答えが出ましたので、同じような悩みをお持ちの方の参考になればと思います。
- 自宅の防災用にポータブル電源は必要なのか?
- ポータブル電源をどのように活用するのか?
- ポータブル電源さえあれば停電への備えは十分なのか?
自宅の防災用にポータブル電源は必要なのか?
スマホやノートパソコンの充電
停電時にも電気が必要なものとして、スマートフォンやパソコンが思い当たると思います。ただし、スマートフォンやノートパソコンにはバッテリーが内蔵されていますので、停電発生直後からすぐに使えなくなるわけではありません。ただし、停電が長時間続きますと充電が必要になります。
大阪府域の南海トラフ巨大地震の被害想定より、被災直後の停電率は最大55%である一方で、被災1日後の停電率は約15%まで解消されると想定されています。
約1日間の停電をしのぐ想定であれば、スマートフォンやノートパソコンの充電は無くても持ちこたえられるかもしれません。もし必要であっても、モバイルバッテリーで十分足りるのではないかと思っていました。
ところが、2018(平成30)年9月4日の台風21号で被災しました。この台風21号では丸1日以上の停電を経験しました。翌日の夕方に電気は復旧しましたが、そのころには携帯電話のバッテリーがもう残りギリギリの状態でした。
その教訓で、私はPanasonic USB入出力付急速充電器 BQ-CC87 を持っています。メーカーによりますと、スマートフォンへの充電が約0.5回分できるとのことです。
ひとまずこれでスマホ充電への停電対策を取ったことにしました。
充電池を使用して、スマートフォンへの充電約0.5回分*できます。
出所:概要 USB入出力付急速充電器 BQ-CC87 | 電池・モバイルバッテリー・充電器総合 | Panasonic
(内蔵電池3.7V約2700mAhのスマートフォンの場合)
冷蔵庫の充電
じつは、先ほど紹介しました2018年台風21号の停電の影響は冷蔵庫にも及びました。
夏場ですので、冷蔵庫は半日もたてば庫内は室温になりました。さらに時間が経つと冷凍庫の内容物が溶けて水浸しになりました。
停電でしたが、ガスは使えましたので、「食材を使い切らないと!」と必死に調理しました。ところが、調理しても一度にそんなに食べられるものではなく、作ったものを冷やして保存もできないので、当時は本当に「何をしていたのだろう」と意味不明な行動を取ってしまいました。
結局、食材や調味料はもったいないですが、廃棄せざるを得ませんでした。
当時は冷蔵庫に自家発電機やポータブル電源をつなぐことは全く考えていませんでした。インスリンなど自宅でも温度管理が必要なお薬があるわけでもなく、食材や調味料くらいならば、「また買えばいいや」と考えていたからです。
なぜポータブル電源を購入しようと思ったのか?
2018年の被災後、まだポータブル電源や発電機を備え付けるという発想はありませんでした。
しかし、本記事執筆時点(2024年9月)では食材や調味料もインフレで値上げしていますし、買い直す時間や労力も必要になります。できれば廃棄せずに済ませたいと思うようになりました。
そこで、ポータブル電源が冷蔵庫のバックアップ電源として使えたらよいのではないかと考えました。
ポータブル電源の活用方法
これまでポータブル電源が気になりつつも購入してこなかった理由は次の2点です。
- 高価、かさばる、重すぎる
- ポータブル電源のメンテナンス(定期的に充電しなければならない)
- 停電時のポータブル電源への充電方法
1000Wh以上の大容量モデルになりますと、10万円を超え、重さも10何キロで、大きさも釣りに行くようなクーラーボックスくらいでかさばるため、ちょっと無理だと思っていました。
一方で、500Wh未満の小型で軽量なモデルは、アウトドアなどの持ち運びには便利ですが、停電時の冷蔵庫の稼働には容量不足だと思いました。
そこで、たまたまJackeryのホームページでポータブル電源600Plusを見て、値段・大きさ・重さの条件面で検討に値すると思いました。
製品 | Jackery ポータブル電源 600 Plus |
---|---|
容量 | 632.3 Wh |
サイズ | 約300 x 219 x 197 mm |
重量 | 約7.3 kg |
価格 | 86,000円 |
メーカーサイトでは、実際に稼働時間のシミュレーションができましたので試してみました。
冷蔵庫は2010年に購入したもので、消費電力量は【440kWh/年】ということですので、1時間に換算すると、【50W】になります [計算式(440×1000)/(365×24)]が、夏場ですとフルパワーの消費電力も考える必要があります。フルパワーのときの消費電力(定格消費電力)は、【電動機の定格消費電力 90W】、【電熱装置の定格消費電力 130W】です。シミュレーションではその中間の【110W】で稼働時間をシミュレーションしてみました。その画面を下にお示しいたします。予測稼働時間は【4.6時間】でした。
2018年大阪北部地震のときも停電がありましたが、割と早くて数時間で復旧しました。このときのように【4.6時間】以内に停電から復旧できればよいのですが、もし2018年台風21号のように長時間の停電が発生したときは、ポータブル電源のバッテリーが無くなるため、何らかの方法で充電する必要があります。
実際に何ワットあるのか、モバイルバッテリー設置後に確認した画面がこちらです。
2024年9月1日の日中のデータですが、消費電力が100Wで、予測稼働時間が4.7時間でした。定格消費電力によるシミュレーションと概ね合っていました。冬場になると消費電力の実測値が減るかもしれませんので、引き続き様子をみてみようと思います。
停電が続くときのポータブル電源への充電方法
Jackery ポータブル電源 600 Plusの充電方法とフル充電時間は次のとおりです。
充電方法 | フル充電時間 |
---|---|
ソーラーパネル200W×1枚 | 4.3時間 |
ソーラーパネル100W×2枚 | 4.3時間 |
ソーラーパネル100W×1枚 | 8.5時間 |
コンセント(AC充電) | 1.7時間 |
シガーソケット | 7.5時間 |
停電時に冷蔵庫の庫内がどれくらい温度が維持できるか次第ですが、保冷剤やペットボトル氷があったとしても2時間程度が限度だと考えますので、【コンセント(AC充電)】で充電したいと考えました。
ソーラーパネルは、悪天候時や冬期にはさらに充電効率が悪いことや、廃棄の難しさを考えますと、私にとっては選択肢には入りませんでした。
では、停電時にコンセント(AC充電)をする方法があるのか?という疑問については、【カセットボンベ発電機】を備えることにしました。
私が購入したのは、カセットガスインバータ発電機 GEN-1000|大和無線電器です。発電機の燃料が自宅保管できることと、カセットコンロと同じ燃料で共用できることが選んだ理由です。
停電が長期間続いたときは、次のようにポータブル電源とカセットボンベ発電機を使う想定です。
- ポータブルバッテリーを冷蔵庫に常時接続します。
- 停電時は自動的にポータブルバッテリーから冷蔵庫へ給電されます。
- 私が使っている冷蔵庫の場合、4~5時間給電できます。
- ポータブルバッテリーの電池残量が少なくなれば、カセットボンベ発電機(連続使用時間1~2時間)からポータブルバッテリーに給電(AC電源からのフル充電1.7時間)します。
- 上記2~4を繰り返し、停電からの復旧を待ちます。
ポータブルバッテリーを普段はどのように使うのか
Jackery ポータブル電源 600 Plusには、一般社団法人フェーズフリー協会による【フェーズフリー認証マーク(PF認証マーク)】がついています。上記写真の左上のピンクのマークがPF認証マークです。なお、緑色のマークは一般社団法人防災安全協会による【防災製品等推奨品マーク】です。
第三者の認証により、Jackery ポータブル電源 600 Plusは、災害時に役立つだけではなく、日常時も役立つことが示されています。
身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようという考え方、それが『フェーズフリー』です。
防災用品のほとんどは、ふだんはしまっていて、非常時のみに取り出して使うものです。
出所 フェーズフリーとは|一般社団法人フェーズフリー協会 (phasefree.or.jp)
フェーズフリー品はちがいます。フェーズフリー品は日常時のいつもの生活で便利に活用できるのはもちろん、 非常時のもしもの際にも役立つ商品・サービス・アイデアです。
Jackery ポータブル電源 600 Plusは、メーカーサイトによりますと家電と常時接続することができて、停電時も給電が途切れないとのことです。
UPS&パススルー機能で停電時も給電が途切れない
停電などの緊急事態が発生した場合でも20 ミリ秒 (0.02 秒) 未満で、電源供給をポータブル電源に自動で切り替え。冷蔵庫や照明などの電源に普段からポータブル電源を接続しておくことで災害時でも安心です。さらに充電時にバッテリーにダメージに与えずに給電もできるパススルー機能にも対応。
出所 Jackery ポータブル電源 600 Plus
上の写真のように接続しました。
AC電源
→オレンジのコンセント・ケーブル
→ ポータブル電源
→ グレーのコンセント・ケーブル
→ 冷蔵庫
モバイルバッテリーから、もしかして音が出ているのかもしれませんが、個人的な感覚としては、音は全くしないように思います。(むしろ冷蔵庫本体からの音の方が大きい)
むすび
今回は、自宅用にポータブル電源を購入するか検討中の方に向けて、次の疑問について解説しました。
- 自宅の防災用にポータブル電源は必要なのか?
- ポータブル電源をどのように活用するのか?
- ポータブル電源さえあれば停電への備えは十分なのか?
自宅の防災用にポータブル電源は必要だと思います。なぜなら丸1日以上の停電に対応するためには、モバイルバッテリーだけでは十分な電力を確保できないことや、冷蔵庫の食材を長持ちさせて、更なる停電等の被害の長期化にも対応できるようにしたいからです。
私の場合、ポータブル電源は冷蔵庫のバックアップ用電源を主な用途として考えています。
ポータブル電源さえあれば、停電への備えは十分かと言えば、停電が長期化した場合は何らかの方法でポータブル電源に充電する必要があります。ソーラーパネル等の方法もありますが、充電の安定性や速さを重視しカセットボンベ発電機で備えています。
この記事がお役に立てれば幸いです。最後までご覧頂きましてありがとうございました!