事業目的は、会社が「何をするための会社なのか」を定款に書いたものです。登記されて誰でも見られる情報になり、法人口座の開設や許認可の申請でも確認されます。個人事業と法人を並行する二刀流では、どちらでどの事業をするのかを決める場面でもあります。書き方の基本と、決めるときの考え方を整理します。
事業目的は定款と登記に必ず載る
事業目的は、定款に必ず書かなければならない事項です。株式会社でも合同会社でも変わりません。定款に書いた目的は、設立の登記で登記事項にもなります。
会社は、定款に書いた目的の範囲内で活動するのが原則です。そのため、これから始める事業だけでなく、数年以内に始めそうな事業も含めて書いておくのが一般的です。
書き方の基本
事業目的は、箇条書きで並べます。たとえば、次のような形です。
1.ウェブサイトの企画、制作及び運営
2.インターネットを利用した各種情報提供サービス
3.各種セミナー及び研修会の企画、運営
4.前各号に附帯又は関連する一切の事業
最後の「前各号に附帯又は関連する一切の事業」は、ほとんどの会社が入れている一文です。列挙した事業に関わる周辺の業務も、目的の範囲に含めるために書きます。
書くときは、次の3点を意識します。
- 適法であること:法律に反する事業は書けません
- 営利性があること:会社は利益を得るための組織なので、ボランティアだけの目的は書けません
- 明確であること:第三者が読んで、何をするのかがわかる言葉を使います
目的の数はどのくらいがよいか
数に決まりはありません。ただし、関連のない事業を何十個も並べると、何をしている会社なのかがわかりにくくなります。法人口座の開設では、事業目的と実際の事業の内容を確認されることがあるため、実態に近い内容にしておくほうが説明しやすくなります。
ひとり法人なら、今の事業および近いうちに始めそうな事業に絞り、少ない数にまとめても問題ありません。法人口座の開設については「【体験談】GMOあおぞらネット銀行 合同会社での法人口座開設」で紹介しています。
許認可が必要な事業は書き方に注意
人材派遣業、古物商、建設業など、許認可が必要な事業を始める場合は、事業目的にその事業が書かれていることが求められます。書き方を指定している許認可もあるので、該当する事業を予定しているなら、設立前に許可を出す役所に確認してください。
士業の業務は会社の目的にできない
二刀流で特に気をつけたいのが、資格がないとできない業務です。社会保険労務士、税理士、弁護士などの独占業務は、資格を持つ個人か、それぞれの士業法人しか行えません。資格を持つ本人が代表でも、一般の株式会社や合同会社の事業目的にはできません。
資格を使った業務は個人事業で行い、それ以外の事業を法人で行う、という分け方が基本になります。
二刀流での事業の分け方
個人事業と法人を並行するなら、どちらでどの事業をするのかを、最初にはっきり決めておきます。
- 同じ取引先との同じ仕事を、個人と法人の両方で受けない
- 請求書の発行元、売上の入金口座、経費の支払いを事業ごとに分ける
- 迷う事業は、どちらで行うかを決めた理由を説明できるようにしておく
分け方があいまいだと、帳簿の管理が複雑になり、税務署から質問を受けたときに説明しにくくなります。二刀流の事務の流れは「二刀流(個人事業×マイクロ法人)自力で事務手続き完全ガイド」にまとめています。
私の合同会社の事業目的は、具体的な事業が2つと、「前各号に附帯又は関連する一切の事業」の、あわせて3つだけです。何をする会社なのかがすぐにわかるように、シンプルにしました。個人事業とは、事業の内容がはっきり重ならないように整理したうえで、目的を決めています。
あとから変えるには費用がかかる
事業目的は、あとから追加や変更ができます。ただし、定款を変更したうえで、変更の登記をしなければなりません。登録免許税は1件につき3万円です。
定款の変更は、株式会社なら株主総会の決議、合同会社なら原則として社員全員の同意で行います。ひとり法人なら自分ひとりで決められますが、登記の手間と費用はかかります。設立時に、数年先まで見すえて書いておくと無駄がありません。
まとめ
- 事業目的は定款に必ず書き、登記されて公開される
- 最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」を入れる
- 許認可が必要な事業は、事前に書き方を確認する
- 士業の独占業務は、一般の会社の目的にできない
- あとから変えると、変更登記に3万円かかる
事業目的は、会社の「やること一覧」です。個人事業との分担も含めて、設立前に一度書き出してみてください。


