個人事業とひとり法人の二刀流では、帳簿を必ず別々につけます。個人事業と法人は、税金の上ではまったく別の存在だからです。会計ソフトを同じメーカーでそろえることはできますが、データは分けて管理します。帳簿を分けるときの考え方と、迷いやすいポイントを整理します。
帳簿は必ず別々につける
個人事業は所得税、法人は法人税の申告をします。申告する人も、税金の種類も、決算の時期も違います。そのため、帳簿も個人用と法人用を別々につけます。
1つの帳簿に両方の取引を入れてしまうと、どちらの売上や経費なのかがわからなくなり、決算や申告のときに整理し直す手間がかかります。
会計ソフトは同じメーカーでそろえてもよい
会計ソフトは、個人用と法人用で別のメーカーを使う必要はありません。同じメーカーでそろえると、操作に慣れているので入力が楽になります。
クラウド会計ソフトの場合、主なものは1つのアカウントで個人事業と法人の両方を管理し、画面上で切り替えて使えます。ただし、帳簿のデータそのものは個人用と法人用で別になります。くわしくは「個人事業とマイクロ法人の二刀流!クラウド会計アプリ(弥生・マネフォ・フリー)は同じアカウントで使える?」で説明しています。
会計ソフトの選び方は、次の記事で比べています。
私は開業以来、弥生会計のデスクトップ版を使っています。個人事業とひとり法人の両方の記帳を、このソフト1つで管理しています。デスクトップ版を選んだのは、インターネット環境に左右されずに作業できること、動作が安定していること、データを自分のパソコンで管理できることが理由です。10年以上前に選んだソフトですが、今もこの選択に満足しています。
弥生会計とマネーフォワードを実際に使って比べた感想は「会計アプリで何ができる?弥生会計とマネーフォワードのメリット・デメリット実体験レビュー」にまとめています。
お金の入り口と出口を分ける
帳簿をきれいに分けるいちばんの近道は、お金の流れそのものを分けることです。
| 項目 | 個人事業 | 法人 |
|---|---|---|
| 銀行口座 | 個人事業用の口座 | 法人口座 |
| クレジットカード | 個人事業用のカード | 法人カード |
| 請求書の発行元 | 屋号・個人名 | 会社名 |
| 領収書の宛名 | 屋号・個人名 | 会社名 |
口座とカードを分けておけば、会計ソフトに明細を取り込むだけで、取引がそれぞれの帳簿に振り分けられます。法人口座の開設については「法人口座の開設準備|審査で聞かれること・用意する書類」で説明しています。
個人と法人の両方にかかる経費
二刀流で迷いやすいのが、個人事業と法人の両方で使っているものの経費です。たとえば、自宅の仕事部屋、インターネット回線、パソコンなどです。
このような経費は、使っている割合など、説明できる基準で個人と法人に分けます。どちらがどれだけ負担するかを決めたら、その考え方をメモに残しておきましょう。同じ経費を個人と法人の両方で全額計上すると、二重に経費にしていることになるので注意が必要です。
判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
個人と法人の間のお金の動き
ひとり法人では、社長個人と会社の間でお金が動く場面がよくあります。
- 社長が会社の経費を立て替えた:会社の帳簿に、社長に返すお金として記録し、あとで法人口座から精算します
- 社長が会社にお金を貸した:会社の帳簿に「役員借入金」として記録します
- 会社が社長に役員報酬を払った:会社の帳簿では役員報酬、個人では給与所得になります
どの場合も、口座の振込記録が残るようにしておくと、あとから説明しやすくなります。現金での受け渡しは、記録があいまいになりやすいので避けたほうが無難です。
電子データの保存にも注意
メールやウェブで受け取った請求書や領収書は、電子データのまま保存することが求められています。個人事業でも法人でも同じです。
個人用と法人用でフォルダを分け、日付・金額・取引先がわかるファイル名をつけておくと、あとから探しやすくなります。
まとめ
- 個人事業と法人は、帳簿を必ず別々につける
- 会計ソフトは同じメーカーでそろえてもよいが、データは分ける
- 口座・カード・請求書の発行元・領収書の宛名を分ける
- 両方にかかる経費は、説明できる基準で分ける
- 個人と法人の間のお金の動きは、振込で記録を残す
二刀流の帳簿は、最初に分け方を決めてしまえば、あとは毎月同じ作業のくり返しです。設立したら、まず口座とカードを分けるところから始めてください。





