会社を設立したら、早めに法人口座を開きます。売上の入金や経費の支払い、社会保険料の引き落としなど、会社のお金はすべて法人口座で管理するためです。ただ、設立したばかりの会社は実績がないため、審査で「本当に事業をしているのか」を確認されます。用意する書類と、審査に備えておきたいことを整理します。
法人口座が必要な理由
ひとり法人でも、会社のお金と社長個人のお金は分けて管理しなければなりません。法人口座があれば、会社の取引の記録が口座の明細にそのまま残り、帳簿づけも楽になります。
取引先によっては、会社名義の口座でないと振り込みを受け付けないこともあります。
審査が慎重なのはなぜか
法人口座は、詐欺や資金洗浄などの犯罪に悪用されることがあります。そのため金融機関は、法律にもとづいて、会社の実態や口座を使う目的を確認します。
設立したばかりの会社は、決算書も取引の実績もありません。審査では、これから事業をきちんと行う会社かどうかを、提出された資料と申込みの内容から判断されます。
用意する主な書類
必要な書類は金融機関によって違いますが、主に次のようなものを求められます。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 会社の登記簿。発行から一定期間内のもの |
| 会社の印鑑証明書 | 届出印を登録する場合など |
| 定款 | 事業目的などの確認に使われる |
| 代表者の本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証など |
| 事業の実態がわかる資料 | ホームページ、契約書、請求書、見積書など |
ネット銀行では、書類をアップロードし、代表者の本人確認もスマートフォンで済ませられることが多くなっています。
審査で確認されること
申込みの入力内容や面談で、次のようなことを確認されます。
- どんな事業をしているのか
- 主な取引先や、お金の流れ(売上の入金元、支払先)
- 口座を開く目的
- 本店所在地での事業の実態
- 事業目的と、実際の事業の内容が合っているか
事業目的に関係のない事業がたくさん書かれていると、何をしている会社なのか説明しにくくなります。事業目的の決め方は「事業目的の書き方|個人事業と事業を分けるときの考え方」で説明しています。
実績のない会社が「事業の実態」を示すには
設立直後の会社にとって、いちばんの準備は、事業が動いていることを示せる資料を手元にそろえておくことです。
- ホームページ:会社名、事業内容、所在地、連絡先を載せたページを作っておく
- 取引の証拠:契約書、発注書、見積書、請求書、取引先とのメールなど
- 事業の説明資料:個人事業から事業を引き継いだ場合は、その経緯がわかる資料
ホームページは、凝ったものでなくても構いません。会社の独自ドメインで作っておくと、事業の実態を伝えやすくなります。
バーチャルオフィスの場合の注意点
本店所在地がバーチャルオフィスでも、それだけで審査に落ちるわけではありません。申込みの際に、バーチャルオフィスであることを正直に申告し、事業の実態を資料で示せれば十分です。
気をつけたいのは、キャッシュカードなどの郵便物です。金融機関からの重要な郵便物は「転送不要」で送られることが多く、バーチャルオフィスからの転送では受け取れない場合があります。郵便局での受け取りを指定できるかなど、受け取り方法を事前に確認しておきましょう。本店所在地の選び方は「会社の本店所在地は自宅でいい?バーチャルオフィスと比べた判断基準」で説明しています。
私が法人口座を開いたときの体験
今年設立した合同会社では、ネット銀行で法人口座を開きました。本店はバーチャルオフィスですが、審査への影響は感じませんでした。申込みから土日をはさんで約6日で開設できています。
審査の途中で、直近の事業の実態がわかる資料を追加で求められました。設立したばかりで実績がなかったため、新しいドメインで作ったホームページや、事業の取引の記録がわかる画面のスクリーンショット、メールなど、手元にある資料をかき集めて提出しました。
キャッシュカードは転送不要の簡易書留で届きますが、受け取り場所に最寄りの郵便局を指定できたので、バーチャルオフィスでも問題なく受け取れました。
くわしい流れは「【体験談】GMOあおぞらネット銀行 合同会社での法人口座開設|マイクロ法人・バーチャルオフィスでも審査通過!」にまとめています。
まとめ
- 法人口座の審査では、事業の実態と口座を使う目的が確認される
- 登記事項証明書、定款、本人確認書類に加え、事業の実態がわかる資料を用意する
- 実績のない会社は、ホームページや取引の記録で事業が動いていることを示す
- バーチャルオフィスでも審査には通るが、転送不要の郵便物の受け取りに注意する
- 事業目的と実際の事業を合わせておくと、説明しやすい
法人口座は、設立後の手続きの中でも時間がかかりやすいものです。登記が終わったらすぐに申し込めるよう、資料は設立前から準備しておきましょう。



