自分の会社で健康保険・厚生年金に入ると、条件を満たす家族は、その健康保険の「被扶養者」になれます。配偶者は、国民年金の「第3号被保険者」にもなります。被扶養者や第3号被保険者は、自分で保険料を納める必要がありません。
この記事では、家族を扶養に入れるための条件と手続きを整理します。二刀流ならではの、家族も個人事業をしている場合の注意点も取り上げます。
会社の社会保険に切り替えるときの全体の流れは、こちらの記事でまとめました。
個人事業主が法人の社会保険に入ると何が変わる?国保・国民年金からの切り替え
被扶養者になれる家族の範囲
日本年金機構の説明では、被扶養者になれるのは、日本国内に住所(住民票)があり、主に被保険者の収入で生活している家族のうち、次の範囲の人です。
| 同居していなくてもよい人 | 同居していることが必要な人 |
|---|---|
| 配偶者(届け出ていない事実婚を含む) | 左以外の3親等内の親族(おじ・おば、おい・めいとその配偶者など) |
| 子、孫、兄弟姉妹 | 内縁関係の配偶者の父母と子 |
| 父母、祖父母などの直系尊属 |
75歳以上で後期高齢者医療制度に入っている人は、被扶養者になれません。
収入の条件
被扶養者になるには、家族の年間収入が次の基準より少ないことが必要です。
| 家族の区分 | 年間収入の基準 |
|---|---|
| 下の2つ以外 | 130万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(配偶者を除く) | 150万円未満 |
| 60歳以上、または障害者 | 180万円未満 |
19歳以上23歳未満の基準は、扶養に入る日が2025年10月1日以降の場合に適用されます。年齢は、扶養に入る日が属する年の12月31日時点で判定します。
あわせて、次の条件も満たす必要があります。
- 同居している場合:家族の収入が、被保険者の収入の半分未満
- 別居している場合:家族の収入が、被保険者からの仕送りの額より少ない
「年間収入」は、これからの見込み
ここでいう年間収入は、過去の収入ではありません。扶養に入る時点から先の1年間に見込まれる収入です。給与収入なら、月10万8,333円以下であれば基準を満たす目安になります。
また、雇用保険の失業給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も、収入に含まれます。
給与収入だけの家族は「労働契約の内容」で判定できる
扶養に入る家族の収入が給与だけの場合、扶養に入る日が2026年4月1日以降なら、労働契約の内容(労働条件通知書など)から見込まれる年間収入で判定できるようになりました。労働契約で決められた賃金から見込まれる額が基準より少なく、ほかの収入も見込まれなければ、原則として被扶養者になれます。
この取扱いを使うには、労働契約の内容がわかる書類と、「給与収入のみである」旨の申立てが必要です。給与以外の収入がある場合は、この取扱いの対象外です。
一時的に収入が増えたときは「事業主の証明」
家族の勤め先で人手が足りず、残業が増えたなどの理由で、一時的に年間収入が基準以上になることもあります。この場合は、家族の勤め先の事業主に「一時的な収入の変動である」ことを証明してもらい、その証明を出すと、原則として連続2回まで被扶養者として認められます。
協会けんぽのQ&Aでは、一時的な収入増の例として、ほかの従業員の退職や休職で業務が増えた場合や、受注が好調で事業所全体の業務が増えた場合などが挙げられています。一方で、基本給が上がった場合など、これからも収入が増えることが確実な場合は対象になりません。
二刀流で気をつけたいこと
家族も個人事業をしている場合
家族が個人事業やフリーランスの仕事をしている場合、その収入は、売上から事業に必要な経費を差し引いた額で考えます。届出のときには、直近の確定申告書の写しを添付します。
給与収入だけの人と違って、労働契約の内容による判定は使えません。事業の収入は年によって変わりやすいので、見込みが基準に近い場合は、扶養に入ったあとも毎年確認しておく必要があります。
また、一時的な収入増を事業主の証明で認める取扱いも、特定の事業主に雇われて得る給与が対象です。フリーランスや自営業としての収入が増えた場合は、対象になりません。
家族が個人事業を手伝っている場合
家族に個人事業の仕事を手伝ってもらい、給与を払っている場合は、その給与も家族の収入に含まれます。会社の社会保険で扶養に入れるかどうかを考えるときは、個人事業から払っている分も合わせて見込みを立てます。
夫婦ともに収入がある場合
夫婦ともに収入がある場合、子どもなどは、年間収入の多いほうの被扶養者になります。たとえば、配偶者が別の会社の健康保険に入っていて、配偶者のほうが収入が多い場合は、子どもは配偶者の健康保険の被扶養者になります。
配偶者が国民健康保険に入っている場合は、配偶者の直近の年間所得をもとに見込んだ額で比べます。
国民年金第3号被保険者とは
配偶者が20歳以上60歳未満で、厚生年金などに入っていない場合は、原則として国民年金の第3号被保険者になります。第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を納めなくても、納めた期間として扱われます。
第3号被保険者の届出は、健康保険の被扶養者の届出と一体になった様式で出します。
届出のしかた:事業主は自分
家族を扶養に入れるときは、被保険者が事業主を通じて「健康保険 被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届」を出します。ひとり法人では、事業主も自分なので、自分で書類を作って提出することになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出期限 | 扶養に入る事実が発生してから5日以内 |
| 提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 提出方法 | 電子申請・郵送・窓口持参 |
添付書類は、続柄を確認する書類(戸籍謄本や住民票など)と、収入を確認する書類が基本です。届書に被保険者と家族の両方のマイナンバーを書き、事業主が続柄を確認した旨を書くなど、条件を満たせば続柄の書類を省略できる場合もあります。
扶養に入った日が、受付日より60日以上前にさかのぼる場合は、扶養の事実を確認できる書類が追加で必要になります。会社の社会保険に入ったときは、家族の届出も早めに済ませましょう。
扶養から外れるとき
家族の収入が基準を超える見込みになったときや、家族が自分で会社の健康保険に入ったときなどは、扶養から外す届出(削除の届出)をします。
配偶者が扶養から外れて、厚生年金などにも入らない場合は、国民年金の第1号被保険者として、住所地の市区町村で加入の手続きが必要です。国民健康保険にも、自分で加入の届出をします。
まとめ
- 被扶養者になれるのは、国内に住所があり、主に被保険者の収入で生活している一定の範囲の家族
- 年間収入の基準は130万円未満。19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満、60歳以上・障害者は180万円未満
- 年間収入は、これから1年間の見込みで判定する
- 給与収入だけなら、2026年4月以降は労働契約の内容で判定できる
- 家族の事業収入は、経費を差し引いた額で考える。労働契約による判定は使えない
- 配偶者は、条件を満たせば国民年金の第3号被保険者にもなる
- ひとり法人では、届出を出すのも自分。事実発生から5日以内
- 残業などで一時的に収入が増えたときは、勤め先の事業主の証明で、原則連続2回まで認められる(自営業の収入は対象外)
参考資料
従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き(日本年金機構)

