定款は、自分で作れます。ひな形を参考にすれば、ひとり法人の定款は数ページにまとまります。迷うのは「紙で作るか、電子で作るか」と「自分で作るか、サービスや専門家に頼むか」の2点です。紙と電子の両方で定款を作った経験をもとに、それぞれの方法を整理します。
定款とは
定款は、会社の基本的なルールを書いた書類です。会社の名前、事業の内容、本店の場所など、会社の骨組みを決めます。設立の登記には、定款が必要です。
定款に書くこと
定款に書く内容は、大きく3つに分かれます。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 必ず書くこと | 書かないと定款が無効になる | 事業目的、商号、本店所在地、出資者の氏名・住所、出資の額 など |
| 書かないと効力がないこと | 定款に書いて初めて認められる | 株式会社の役員の任期を10年に延ばす、株式の譲渡に会社の承認を必要とする など |
| 自由に書けること | 書くかどうかは会社の判断 | 決算月、役員の人数 など |
株式会社と合同会社では、必ず書くことの中身が少し違います。合同会社では、出資者(社員)が有限責任社員であることも書きます。
商号、事業目的、決算月の決め方は、このシリーズの次の記事で説明しています。
紙の定款と電子定款の違い
| 紙の定款 | 電子定款 | |
|---|---|---|
| 形式 | 印刷して押印 | PDFに電子署名 |
| 収入印紙 | 4万円 | 不要 |
| 必要な準備 | 印刷と押印のみ | 電子署名の環境(マイナンバーカードなど) |
| 株式会社の認証 | 公証役場に出向く | オンラインで申請できる |
いちばん大きな違いは、収入印紙の4万円です。紙の定款は課税文書なので4万円の印紙が必要ですが、PDFで作る電子定款には印紙税がかかりません。
その代わり、電子定款には電子署名が必要です。PDFに電子署名をつけるソフトと、マイナンバーカードなどの電子証明書を用意しなければなりません。
定款の作り方は4通り
1. 自分で紙の定款を作る
ひな形をもとにWordなどで作り、印刷して押印します。特別な準備はいりませんが、収入印紙4万円がかかります。
2. 自分で電子定款を作る
法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」で配布されている申請用総合ソフトを使うと、PDFに電子署名をつけられます。ソフトの操作に慣れていれば、費用をかけずに電子定款を作れます。
3. 無料の会社設立サービスを使う
会計ソフト各社の会社設立サービスでは、画面の質問に答えていくと定款や登記書類が作られます。電子定款にも対応しているので、自分で電子署名の環境をそろえなくても、印紙代の4万円をかけずに済みます。サービスごとの違いは「【完全比較】弥生会計・マネーフォワード・freeeの無料会社設立サービスと印鑑準備のポイント」で比べています。
4. 専門家に頼む
定款の作成は行政書士、登記の申請は司法書士に頼めます。報酬はかかりますが、内容の確認から手続きまで任せられます。
株式会社は公証人の認証が必要
株式会社の定款は、公証役場で公証人の認証を受けなければなりません。認証の前に、定款の案を公証役場に送って内容を確認してもらうのが一般的です。このとき、修正を求められることがあります。
また、株式会社の定款認証では、会社の実質的支配者(株式の大部分を持つ人など)を公証人に申告します。ひとり法人なら、多くの場合は自分自身です。
合同会社は定款の認証が不要です。作った定款を、そのまま設立登記の書類として使えます。
紙と電子の両方で作ってみて
10数年前に株式会社をつくったときは、紙の定款を自分で作り、4万円の収入印紙を貼りました。いちばん大変だったのは、公証人の認証です。公証人のOKが出るまで、定款の修正を何度も求められました。
今年合同会社をつくったときは、電子定款にしました。株式会社の手続きで申請用総合ソフトを使い慣れていたので、設立サービスを使わずに自分で作れました。合同会社は認証もいらないので、定款ができたらそのまま登記申請に進めました。
電子署名には、自分のマイナンバーカードを使いました。パソコンでカードを読み取るために、ICカードリーダーを購入しています。新たに用意したのはこれだけです。
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どの方法を選ぶか
- 費用を最小限にしたい、パソコンの操作に慣れている → 自分で電子定款
- 手間をかけずに印紙代を節約したい → 無料の会社設立サービス
- 準備は少なくしたい、印紙代は気にしない → 自分で紙の定款
- 内容に不安がある、時間がない → 専門家に依頼
まとめ
- 定款は自分で作れる
- 電子定款なら収入印紙の4万円がかからない
- 電子定款には電子署名の環境が必要だが、設立サービスを使えば不要になる
- 株式会社は公証人の認証が必要で、修正を求められることもある
- 合同会社は認証不要で、作った定款をそのまま登記に使える
定款は、会社の「取扱説明書」のようなものです。自分で作ると、会社のしくみをひととおり理解できるという利点もあります。




