テレワークで業務をして頂く人を雇用型にするか自営型(業務委託)にするか

テレワークで業務をして頂く人を雇用にするか委託にするか?

そもそも雇用と委託の違いについてよくわからないかもしれません。

テレワークの形態には次の2つがあります。

  • 雇用型・・・雇用型テレワークを行う人は労働者です。雇用契約を結びます。
  • 自営型・・・自営型テレワークを行う人は個人事業主や小規模事業者です。業務委託契約を結びます。

この記事では、雇用にする場合のメリット・デメリット、業務委託のメリット・デメリットについて解説します。

その前に雇用契約と業務委託契約について解説します。

雇用契約と業務委託契約

【雇用型】雇用契約とは

社員やアルバイト等を雇う契約は雇用契約で、労働者として労働関係法令の保護を受けることができます。

雇用契約書

雇用契約の場合、労働基準法により「労働条件通知書」を通知する義務があります。

  • 「労働条件通知書」は使用者から労働者に一方向で通知するものです。
  • 「雇用契約書」は使用者と労働者の双方向での契約です。
雇用契約書の場合でも労働基準法に定められた項目を明記しなければなりません。

≫ 厚生労働省モデル労働条件通知書

≫ 労働条件通知書 記入例

労働時間

原則として法定労働時間内(1日8時間、週40時間)で働かせなければなりません。

ただし、36協定を所轄の労働基準監督署に届け出ることにより、届け出た時間分までは残業させることができます。

賃金

時給換算した賃金が法律に定められた最低賃金以上でなければなりません。

最低賃金額以上かどうかを確認する方法

完全歩合給制の場合でも、(その月の歩合給の賃金)÷(その月の総労働時間)が最低賃金以上でなければなりません。

また、次の場合は割増賃金を支払わなければなりません。

  • 法定労働時間を超えた場合(割増率25%以上)
  • 法定休日に働いた場合(割増率35%以上)
  • 深夜時間帯(22時〜翌5時)に働いた場合(割増率25%以上)

年次有給休暇

労働者には法律に定められた年次有給休暇を取得する権利があります。

さらに使用者(経営者)には、年10日以上年次有給休暇が付与される労働者に対しては、年5日以上年次有給休暇を取らさなければならないという義務もあります。

健康診断

  • 雇入れ時
  • 定期的に年1回

健康診断を受けさせなければなりません。

労災保険・雇用保険

  • 一人でも労働者を雇ったら労災保険に加入しなければなりません。
  • また、週20時間以上働く人については雇用保険に加入させなければなりません。

服務・懲戒・解雇

雇用契約書や就業規則に

  • 服務(職場のルール・遵守事項)
  • 懲戒(ルールを破ったときの処分)
  • 解雇(どういうときに解雇するのか)

を明記しなければ懲戒や解雇をすることができません。

【自営型】業務委託契約とは

一方で、業務委託や請負の場合は業務委託契約になります。

業務委託契約書

「ライター業務」の契約書の参考例を紹介します。

各回の受発注に共通する事項(基本的な報酬の決め方、報酬の支払い方、遵守事項、損害賠償、秘密保持など)を基本契約とした「業務委託契約書」そして、各案件を個別契約とした「発注書」として契約する例です。

≫ 業務委託契約書の参考例

基本的には「労働者」としての保護を受けません

注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。

労働者に該当するか否かの判断基準

労働者であるか否か(労働者性)の判断基準として行政通達があります。

「業務委託」や「請負」といった契約をしていても、「専属業務委託契約」など、その働き方の実態から「労働者」であると司法(裁判所)や行政(労働局・労働基準監督署)から判断されれば、労働法規の保護を受けることがあります。

労働基準法の労働者の判断基準

(1)「使用従属性」に関する判断基準

①「指揮監督下の労働」に関する判断基準

  • a 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
  • b 業務遂行上の指揮監督の有無
  • c 拘束性の有無
  • d 代替性の有無-指揮監督関係を補強する要素-

②「報酬の労務対償性」に関する判断基準

(2)「労働者性」の判断を補強する要素

①事業者性の有無

  • a 機械、器具の負担関係
  • b 報酬の額
  • c その他(独自の商号使用が認められているか)

②専属性の程度

(3)その他
  • ①採用、委託などの選考過程
  • ②報酬から給与所得としての源泉徴収を行っているか
  • ③労働保険の適用対象か
  • ④服務規律の適用対象か
  • ⑤退職金制度、福利厚生の適用対象か

労働組合法における労働者性の判断要素

<基本的判断要素>
  • ①事業組織への組み入れ
  • ②契約内容の一方的・定型的決定
  • ③報酬の労務対価性
<補充的判断要素>
  • ④業務の依頼に応ずべき関係
  • ⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
<消極的判断要素>
  • ⑥顕著な事業者性

メリット・デメリット

雇用型(労働者)

メリット

自営型(業務委託)と比較して、

  • 時間的・場所的に拘束できます。
  • 業務命令に従わせやすいです。

デメリット

自営型(業務委託)と比較して、

  • 労働時間・賃金・休日・休暇等、色々と法規制があり管理に知識や労力を要します。
  • 労働者に対してあらかじめ違約金や賠償額の定めをすることはできませんし、本人の同意なく賃金から賠償額を天引きすることもできません。
  • 使用者と労働者は対等な関係ではない(使用者>労働者)ので、会社に損害を発生させた労働者に対して賠償する場合でも会社側の過失相殺を理由として賠償額の減額や賠償自体が認められない場合があります。

自営型(業務委託)

メリット

雇用型(労働者)と比較して、

  • 基本的には業務委託者と対等関係にありますので、想定される損害について損害賠償条項を業務委託契約に定めることができます。
  • 労働時間・賃金・休日・休暇等の労働関係法令の適用を受けませんので自由に契約できます。

デメリット

雇用型(労働者)と比較して、

  • 基本的に他の同業者からの依頼を受けることも許容する必要があります。
  • 「専属業務委託」のように時間的・場所的に拘束すると業務委託契約の体裁であっても「労働者」であるとみなされる場合があります。

結論

実務上、専属業務委託にするか雇用するかどちらが良いか?という相談をよく受けます。

どちらが良いか?については本当に個別具体的な事情によりますので、一般化してお答えすることができません。

もし毎日コンスタントに過不足なく業務を与えることができる状況で、かつ、労働基準関係法令を遵守できるのであれば、労働時間中にいつでも気軽に仕事を命じることができる雇用が選択肢に入ると思います。

一方で、業務委託契約、特に専属業務委託(他の発注事業者に対する業務委託契約を制限し、自己とのみ取引する義務を課すもの)にする場合には、上記の労働基準法上、労働組合法上の判断要素に当てはまらないか、確認する必要があると思います。

具体的にどちらが良いかお悩みでしたら、社労士のアドバイスを受けるほうが良いと思います。

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