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【就業規則】在宅勤務規程の作り方!3つのポイント【テレワーク】

ルールづくり

在宅勤務規程の作り方!3つのポイント

新型コロナウィルス感染拡大により、在宅勤務を導入する場合があると思います。

例えば、次のケースが考えられます。

  • 政府からの要請による人流抑制のための予防的な在宅勤務
  • 妊娠中の感染リスクを低減するため母性健康管理措置としての在宅勤務
  • 社員がコロナ陽性又は濃厚接触者となったときの在宅勤務

新型コロナウイルス感染症から社員を守りつつ事業を継続するための在宅勤務ですね。

このような災害などの緊急事態でも重要業務を中断せずに事業を継続し、

万一中断しても早期に重要な機能を再開するという

【事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)】の一環として、

在宅勤務が企業を守るための経営戦略として考えられます。

また、求人募集しても応募が無い・少ないことや、

転居・育児・介護・治療のために優秀な社員さんが離職するという場合もあります。

資金繰りならぬヒト繰りの問題ですね。

在宅勤務(テレワーク)は、求人広告のアピールポイントになります。

また、通勤は難しいけれど自宅からPCさえあれば業務ができるならば、

在宅勤務によって転居・育児・介護・治療と仕事との両立が可能になるでしょう。

テレワークの就労形態は3つあります。
① 在宅勤務 ② サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務) ③ モバイル勤務
今回は、テレワークのうち「① 在宅勤務」について解説します。

在宅勤務を進めるうえで、従来の紙媒体から電子媒体へと移行せざるを得ないかもしれません。

一方で、電子化により業務は大きく効率化されると考えます。

生産性向上にも役に立つかもしれません。

そこで今回は、在宅勤務規程を作るうえで考えておくべき、大事なポイントを3つ厳選して解説したいと思います。

大事なポイントは次の3つです。

  1. 対象範囲: 対象者・対象業務・実施頻度
  2. 時間: 労働時間・休憩(中抜け)・休暇
  3. お金: 賃金・費用負担

対象範囲

対象者

手引きによると、次の条件を満たした者が対象になります。

「在宅勤務を希望する者」 かつ 「自宅の執務環境・セキュリティ環境・家族の理解のいずれも適正と認められる者」

一方で、実際にコロナ禍で在宅勤務を行った社員は、調査「テレワークの労務管理などに関する実態調査(速報版)」三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2020/11/16)によりますと、

「特に条件は設けず正社員全員に認めている(40.1%)」である一方で

「特定の職種・職務を担う社員(39.9%)」という結果でした。

その人の担う職種や職務によって、「在宅勤務ができる社員」と「在宅勤務できない社員」に分かれるように考えられます。

転勤・育児・介護・治療との両立支援目的に限定するという福利厚生的な在宅勤務を認めることも考えられますし、危機管理上の点からBCP発動としての在宅勤務を命じることもあり得ます。

特に法律による定めがありませんので、対象者は自由に決めることができます。

ただし、テレワークガイドライン(厚生労働省:令和3年3月)
によりますと、
テレワークの対象者を選ぶときには、正社員、非正規雇用といった雇用形態の違いだけを理由に「正社員のみ対象者にする」など、のように非正規雇用者を除外しないように気を付けてくださいね。
ということです。

対象業務

業務の洗い出し

まずは、業務を洗い出します。業務の洗い出しのチェックポイントは次の5つです。

  1. 業務にかかる時間 … その業務にどれくらいの時間がかかるのか?
  2. 使用する書類 … その業務で使用する書類の有無。紙媒体か電子媒体か?
  3. 使用するシステムやツール … 在宅勤務でも使えるシステムやツールが揃っているか?
  4. セキュリティリスク … 業務上で取り扱う個人情報などはあるか?
  5. コミュニケーション量 … 業務は何人で行うか?関係者とのやり取りの頻度は?
業務の仕分け

洗い出した業務を次の3つに分類します。2の「今は在宅勤務でできない業務」を1の「在宅勤務でできる業務」に変えることにより、在宅でできる業務が拡大します。

  1. 現状で在宅勤務でできる業務 … 入力作業、データの修正・加工、資料作成、企画など
  2. 今は在宅勤務でできない業務 … 資料の電子化・コミュニケーションツールの整備をすればできる業務
  3. これからも在宅勤務でできない業務 … 物理的な操作を必要とするオペレーション業務

今は「3」の業務であっても、技術の進歩により「2」や「1」になる可能性はあると思います。

【Microsoft Teams】は、1つのアプリで

  • 会議システム(Web・TV・電話)
  • チャット
  • 情報共有ツール

の3機能を兼ね備えている便利なツールですのでオススメです。

詳しくは、Microsoft Office 365 サービスをご確認ください。

実施頻度

実施頻度は業務に合わせて柔軟に決めればよいと思います。

国土交通省の調査「令和2年度テレワーク人口実態調査(令和3年3月)」によりますと、令和2年度では1週間あたりのテレワーク実施頻度が1週間当たり平均2.4日でした。

時間

労働時間

基本的には仕事場所がオフィスか自宅かという違いだけですので、始業時刻・終業時刻はオフィス勤務と同じでよいと思います。
始業時刻・終業時刻の繰り上げ・繰下げ(時差勤務)

在宅勤務に限らず、業務の都合により始業時刻・終業時刻の繰り上げ・繰下げができることが、既存の就業規則に定められていることが多いです。

在宅勤務にも就業規則は適用されますので、就業規則の定めに従い、始業時刻・終業時刻の繰り上げ・繰下げはできます。

事業場外みなし労働

労使協定という労働者代表者と会社との協定により、自宅勤務を事業場外の勤務として、労働時間の把握が難しいから所定労働時間働いたことにする、ということが可能になります。

ただし、今の時代の在宅勤務はITツールを使って行うことが多いですので、技術の進歩により自宅であっても労働時間の把握が可能になってきています。

よって、在宅勤務に事業場外みなし労働を適用することはオススメしません。

フレックスタイム制

こちらも労使協定により使える制度です。例えば1日で働く時間帯(フレキシブルタイム)を決めておいて、この範囲内で労働者が始業時刻・終業時刻を決めることができます。

1日の労働時間の長短があっても、1か月に働いてもらう決めた時間(総労働時間)を過不足なく働けば、所定の月給が支払われます。

フレックスタイム制でも深夜時間帯(22時~翌5時)に働けば深夜割増賃金(25%)を支払う必要があるため、フレキシブルタイムは深夜時間帯を避けることが多いです。

また、コアタイム(必ず勤務する時間帯)を設けるかどうかについては、その会社によります。

コアタイムを設ける必要性があれば設けますし、別に必要なければフルフレックス(コアタイムの無いフレックスタイム制)にします。

2019年4月1日の法改正により総労働時間を決める期間(清算期間)が上限が1か月から3か月に拡大されました。従前の清算期間1か月以内であれば、労使協定を労働基準監督署に届け出る必要はありませんでしたが、清算期間を1か月超3か月以内にすると、労使協定を届け出なければなりませんので注意してください。
裁量労働制
専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の2種類があります。
要件が厳しいですが、仕事の進め方や、働く時間の配分等を労働者の裁量にゆだねる必要があります。
在宅勤務ができる業務であれば、在宅勤務とはとても相性のよい制度です。
ただし、長時間労働に陥りがちですので、労働時間管理や健康管理に留意しなければなりません。

休憩(中抜け)

休憩
休憩時間も基本的にはオフィス勤務と同じでよいと思います。

しかし、実際には自宅でもあることからそのコントロールは難しいでしょう。労働基準法では「労働時間の途中に与える休憩時間(○分)」を定めていますので、在宅勤務規程には時間(○分)のみ記載し、在宅勤務者を一斉休憩付与の適用除外にする労使協定を結ぶという考え方もあると思います。

中抜け

在宅勤務では、家庭の都合などにより、勤務時間中に私用を行いやすいです。

例えば15分以上私用のために抜ける場合は事前申請による中抜けを認めるというものです。

中抜けした時間の扱いは、次の2通りが考えられます。

  1. 終業時刻を延長し、所定労働時間働いてもらう ⇒ 通常勤務扱い(残業ではない)
  2. 中抜けしても所定の終業時刻に終わる ⇒ 中抜けした時間は不就労扱い

休暇

中抜けで不就労扱いにするときの処理は、次の3通りが考えられます。
法律に定められた休暇を使うこともあり得ますので、紹介します。

私用外出

既存の就業規則に定めがあると思いますので、それを適用します。

有給か無給かは就業規則によりますが、無給である場合が多いです。

遅刻・早退・欠勤と同様の扱いですので、人事評価に影響する場合もあり得ます。

時間単位の年次有給休暇

法律に定められた制度ですが、年次有給休暇とはそもそも丸一日休養を取ってもらうための休暇です。

時間単位というのは法の趣旨にはなじまない、ということから、

労働者と会社の労使協定がある場合に限り、時間単位の年次有給休暇の制度が使えます。

法律に定められた休暇ですので、人事上の不利益は受けません。

この制度があるか無いかは会社によります。

中抜け時間に時間単位の年次有給休暇を充てる場合には有給になります。

時間単位の子の看護休暇・介護休暇

2021年1月1日から導入された制度です。

こちらは「育児介護休業等に関する労使協定」の適用除外になっていない人

(つまり下記の①と②のいずれかに当てはまらない人)は利用できます。

厚生労働省のモデル労使協定によると子の看護休暇と介護休暇の適用除外者は次の通りです。
① 入社6か月未満の従業員
② 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

法律に定められた休暇ですので、人事上の不利益は受けません。

有給か無給かは、会社の育児・介護休業規程によります。

在宅勤務の利用単位

  1. 終日単位
  2. 半日単位
  3. 時間単位

が考えられますが、管理が楽なのは

「1. 終日単位」と「2.半日単位」です。

「2.半日単位」は在宅勤務でできる仕事があまり無い場合など

終日在宅勤務では時間を持て余してしまう業務でも、

「半日在宅勤務」と「半日単位の年次有給休暇」

の組み合わせなら使えるかもしれません。

何らかの事情で電車が止まってしまって会社に行けない!という時に、

最小限度の仕事だけは半日の在宅勤務で、残りは半休という使い方も考えられますね。

時間外・深夜・休日労働

調査「テレワークの労務管理などに関する実態調査(速報版)」三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2020/11/16)によりますと、

時間外労働については「事前申請ありで認める」会社が多いのですが、

深夜労働と法定休日労働は「事前申請ありで認める」と「認めない」会社が概ね同じ程度でした。

法定時間外労働 (可:事前申請要)47.3% (不可)23.1%
深夜労働 (可:事前申請要)34.8% (不可)37.6%
法定休日労働 (可:事前申請要)41.5% (不可)34.5%

よって、時間外労働などは「認めない」でも構わないと思います。

なぜなら、上記の調査の別のデータによると、

6割の会社で、時間外労働の多さは「在宅勤務の方が少ない又はやや少ない」と回答したからです。

在宅勤務の場合、電話や「ちょっといい?」みたいな声かけで作業を中断されることなく、

業務に集中できるから仕事が早く終わるのかもしれませんね。

勤怠管理方法

調査「テレワークの労務管理などに関する実態調査(速報版)」三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2020/11/16)によりますと、

  • 電子ファイルの出勤簿等に自己申告で記入する
  • 上長等に対してメールによる報告を行う
  • Web上でタイムスタンプを押す・Web打刻する

という方法が上位にきています。

あとは、始業時のWeb会議での朝礼、終業時のWeb会議での夕礼という方法も、コミュニケーションが取れてよいと思います。

もし、【勤怠管理アプリ】+【給与計算アプリ】を同時に導入する場合は、次の2つのいずれかがオススメです。

詳しい内容はリンク先をご確認ください。

お金

賃金

基本的には仕事場所がオフィスか自宅かという違いだけですので、基本給や職務に関連する手当(役職手当、職務手当等)、属人的な手当(家族手当や住宅手当等)はオフィス勤務と同じでよいと思います。

例外として、現場や外回りで働くことの対価として支給する手当、すなわち、在宅勤務することで支給要件から外れることが就業規則・賃金規程で明確になっている手当であれば、在宅勤務中は手当の支給対象から外すことは差し支えないと考えます。

通勤手当

ただし、在宅勤務の場合、自宅~会社の交通費は発生しませんので、在宅勤務者の通勤手当は見直した方がよいでしょう。

会社の所在地や最寄りの交通機関等の事情によって一律に言えませんので、

出勤日数が週1、2、3、4とした場合の通勤定期代と往復切符代のどちらが少ないかを、

それぞれシミュレーションした方がよいと思います。

他には、会社へ出勤する見込み日数に応じて、

「公共交通機関の通勤定期券相当額」と「往復切符代×出勤日数」

のうち低額となる方を支給するという定め方もあります。

時短勤務

コロナ禍の中、「時短勤務で在宅勤務」の社員さんも多いと思います。

時短になった場合には、実労働時間相当の賃金にすることは可能です。

改めて規定を作る必要はなく、多くの会社には「育児・介護休業規程」があると思います。

育児短時間勤務や介護短時間勤務の定めがありますので、それを準用するのが簡単です。

費用負担

在宅勤務にかかる費用負担としては次の4つが考えられます。

  1. 機器購入費
  2. 通信費
  3. 消耗品購入費
  4. 光熱費

在宅勤務の場合、通信費、光熱費などの費用は私用との区別が難しく、在宅勤務者が負担することがあり得ます。

もし、在宅勤務者に費用負担を求める場合は就業規則に定めなければなりません。

労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は就業規則に定めなければならない(労働基準法第89条第5号)

機器購入費

パソコン本体や周辺機器、携帯電話、スマートフォンなどは、セキュリティリスクの点からも本人所有の機器ではなく、会社から貸与することがほとんどです。

通信費

通信回線の使用料等は、私用と業務私用との切り分けが困難ですので、

全額労働者負担、一定額を会社負担とする場合が考えられます。

あるいは、会社が無線Wi-Fiルーターを貸与する場合もあります。

消耗品購入費

文具消耗品は会社から支給する場合が多いです。

切手や宅配便等の費用は本人立替払いで後日に領収書実費精算するか、

会社が事前に切手や宅配メール便封筒等を配布することがあります。

光熱費

エアコン、パソコン、電灯などの電気代は私用と業務利用の切り分けが困難ですので、

全額労働者負担、一定額を会社負担とする場合が考えられます。

テレワーク手当

調査「テレワークの労務管理などに関する実態調査(速報版)」三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2020/11/16)によりますと、意外とテレワーク手当は支払われていないようです。

在宅勤務のための会社からの補助や手当があったかどうか
通信費    ない(84.8%)
水道光熱費  ない(94.3%)

通勤手当は割増賃金の算定には含みませんが、テレワーク手当は割増賃金の算定に含まれることが気になるのかもしれません。

在宅勤務手当と割増賃金の計算方法について、詳しくは別記事にをご参照ください。

まとめ

今回の記事では、「在宅勤務規程を作るときに大切な3つのポイント」を紹介しました。

大事なポイントは次の3つです。

  1. 対象範囲: 対象者・対象業務・実施頻度
  2. 時間: 労働時間・休憩(中抜け)・休暇
  3. お金: 賃金・費用負担

他にも、会社の事情に応じてカスタマイズする必要があるかもしれませんが、とりあえずはこれだけで十分です。

テレワークを実際に行ってみて、何か課題が見つかり、

その課題が規則の改定によって解決するのであれば、

さらに規程を改定すればよいのです。

このブログでは今後もテレワーク勤務規程、在宅勤務規程などの就業規則の見直しのポイントについても解説したいと思います!

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